オフィス選びで【100万円】を生み出す 12のチェックポイント

はじめに

1.仲介業者

味方と思っていたのに・・・仲介業者は敵か? 味方か?
あなた 「えーっ! 12ヶ月分も払わないといけないの?」
「そんなことしたら、コツコツ貯めた開業資金が全部なくなっちゃうよー」
仲介業者「それくらい、常識ですよ!」
あなた 「常識って言うけど、12ヶ月分だよ、12ヶ月分!」
「いくらになると思ってんの? 何とかならないの?」
    「あなたは、僕の【代理人】でしょ?」
仲介業者「いや、それくらいが常識ですから・・・」
あなた 「常識常識って言うけど、それが常識で交渉もできないんだったとしたら、
あなた、何のためにいるの?」
仲介業者「・・・」

仲介業者は「二重スパイ」
住まいを借りた事のある方は経験があると思いますが、仲介業者という物件を案内してくれる代理業者がいます。
オフィスの場合も同じです。
オフィスを見る時には仲介業者さんに案内してもらいます。
彼らは表向きには私達の代理人(エージェント)です。ですから当然、私達の代わりに「私達の立場」で、ビルのオーナー(貸す側)と色々と交渉してくれる「ハズ」です。
しかし、彼らを完全に味方だと思ってはいけません。

なぜなら、彼らは「貸す側からもお金をもらっている」からです。

つまり、貸す側の代理人も同時にやっているのです。
これは、裁判で言うなら、ある人が被告人の弁護士と検事の両方をやるようなものです。

むちゃくちゃ矛盾しています。

しかし、提供者側だけの論理中心でやってきたオフィス業界では、こんなことが完全に「まかり通っている」のです。
だから、彼らの言うことを心の底から信用してはいけません。
だって、彼らは私達が交渉すべき相手からもお金をもらっているのです。私達にとって不利な事、貸す側にとって有利な事に目をつぶる可能性があります。

しかも、彼らの報酬である「仲介手数料」は「家賃の1か月分」です。
つまり、家賃が高くなればなるほど、彼らの報酬は高くなります。

この報酬の決め方だと、私達と仲介業者の間に「利益相反」が生まれてしまいます。
だって、そうでしょう?
あなたは少しでも家賃を低くしたいですよね?
でも、彼らの報酬は、私達が払う金額が高くなればなるほど高くなるのです。

2.の家賃相場でも説明しますが、家賃には「定価」があるワケではありません。相場によって価格は常に変わっていきますし、交渉して家賃を下げる事も出来ます。
この交渉をやってくれるのが代理人である仲介業者です。
でも、彼らの報酬は家賃が高くなったほうが高いのです。家賃が高ければ高いほどイイのです。

つまりクライアントである「あなた」が損をすればするほど、彼らは儲かるという事です。
だから、本当に親身になって代理をしてくれる仲介業者さんを探すか、完全に任し切らない事です。

仲介業者によっては、依頼主である私達の事情をあまり考えてくれずに「何でもいいから、早く決めてくれ」みたいな態度の人もいます。
とりあえず、決めてくれればなんでもいいやって感じですね。
交渉なんか、決してしてくれません。

もちろん、私が現在お付合いさせて頂いている仲介業者さんのように信用できる方達もいらっしゃいます。
ですから仲介業者さんのことをすべて疑え、と言っている訳ではありません。

大切なのは、仲介手数料を払うからといって「仲介業者が完全にあなたの立場になって交渉してくれるワケではない」ということを認識しておいたほうが良いということです。

2.家賃の相場

相場の決まり方
あなたがオフィスを借りたいという場所があったとします。
その場所に「定価」はありません。色々な条件によって、家賃は変動します。
これは多くの人が「なんとなく」知っている事だと思います。
ただ、その相場を熟知している人は少ないでしょう。

相場を知らないと、全く相場から外れたような高額な家賃で契約してしまう事になりかねません。
家賃というのは、オフィスに関係するすべてのコストに関係してきます。敷金にしても更新料にしても仲介手数料にしても、「家賃×○ヶ月分」という計算をします。
だから、ちょっとした差でも、合計すると大きな差になります。

相場は必ず下調べする
相場は必ず、調べていきましょう。
正確な相場を知るのは難しいですが、大雑把でも構いません。
ちょっと知っているのと知らないので大きな差が生まれます。

簡単な方法があります。
インターネットの不動産検索情報サイトを使って下さい。そのサイトで借りたいエリアの物件をいくつかピックアップするのです。そうして20件も見れば、だいだいの相場を把握する事ができます。

家賃相場は、大雑把に言うと3つの要素から成り立っています。
1.立地のグレード
2.交通の便利さ
3.ビルのグレードと新しさ
 
・青山のような立地グレードの高い人気エリア(1)
・駅から徒歩5分以内(2)
・ビルが新しくておしゃれ(3)          
というオフィスが最高です。
この1.2.3.の組み合わせによって、家賃は決まってきます。

例えば上記の物件を最高として「100」とします。
それと比較して、ビルが古かったら「90」になりますし、しかも駅から遠くなると「80」という感じで相場が決まってきます。

ですから、この3つの要素を見て「高いのか安いのか」を比較して判断すればバッチリです。
これをすることによって「ふっかけられる」ことがなくなります。

家賃に定価なし
1.2.3.の条件と見合う賃料で気に入った物件があっても、すぐに決めないで下さい。

必ず、家賃を交渉して下さい!

仲介業者に「決まり値はいくら位ですかね?」と聞きましょう。
親切な業者ならば「○○円位だと思います」「○○円位までなら交渉できると思います」と教えてくれます。
ただ、彼らは「二重スパイ」ですので、ちゃんと「交渉して下さい」としっかり頼まないと、交渉はしてくれませんから家賃は絶対に下がりません。

彼らにしても、家賃が高く決まったほうが、仲介手数料が多くなるのです。もともと、そういった相反する利益を追う宿命にあるのです。

しっかり、交渉を依頼しましょう。

「必ず交渉して下さいね」と念を押してお願いすれば、大抵の業者さんは交渉してくれます。
彼らにしても仲介が成立しなくて収入が「0」になってしまうよりも、低い家賃でも決まってくれたほうがイイのです。

「家賃に定価なし」「家賃は交渉できる」と考えて、必ず交渉しましょう。
たいてい、「出し値」(広告などで公開されている家賃)より低い金額で決まりますよ。

3.共益費

あれっ、こんなに高かったの?
オフィスを見に行った日 

「安い!」
賃料60万円、坪単価にすると2万。この立地にしては、絶対に安い。
「この物件に決めた!」

契約をする日

「あれっ?」
小さい字で共益費12万って書いてある・・・って事は合計72万? 坪単価2万4千円?
「高いじゃん!?」

募集の案内はよく見ましょう。

オフィスのランニングコストは、基本的に「賃料+共益費」です。
だから賃料は安くても共益費が高いと全体的には高くなってしまいます。

募集の時は、賃料だけが大きく目立つように太字で書かれていますから、注意して下さい。下の方に小さく細い字で「共益費○○円」と書かれたりしています。

ぱっと見て「安い!」と思うのですが、実は総額では高かったりします。

共益費以外の諸費用
また、共益費ではないけど共益費に近いような費用で、テナント看板(表札)を替える費用を請求されたり、出す必要もない看板代を請求されたり、ゴミ出し代といってよく分からない費用を請求されたりした事がありました。

それも契約を決まるって直前に・・・「こういう費用もかかります」と説明されます。
そうなったら後戻りは非常に難しいです(-_-;)
その頃には、登記とか名刺とかチラシとかの手配をしてしまっている事が多いですから、引くに引けなくなります。
共益費はもちろんのこと、その他に月々かかる費用があるかどうか前もって確認しておきましょう。
 契約する前の段階であれば、十分、それらに関しても交渉できます。

そこで月々数万円の損をしなくて済めば、売上を上げる為の広告宣伝とかにお金を使う事が出来ます。
その方が100万倍、有益です。

4.契約面積と有効面積

契約面積
契約面積を注意深く見る人はいないでしょう。
多くの方は、「広い」とか「狭い」とかだいたいの印象だけで決めてしまいます。
また、仲介業者から渡される物件資料を見て「契約面積○○坪」という所を見て、それを完全に信じます。
さらに悪い事に「○○坪」をすべて自分が「使えるスペース」だと思ってしまいます。
これは無理の無い事ですが、注意が必要です。

そうしないと・・・
「あれっ、こんなに狭いの?」
借りてから、なぜか予定していた荷物が入らないことになります。

なぜなら契約面積というのは、あなたが見たスペースだけではない部分が含まれてしまっている事が多いのです。
つまり、トイレや廊下、給湯室やエレベータホール部分なども、実は契約面積に入っていることがあるのです!

実際にあなたが見たスペースと契約面積は違います。
オフィスとして使える有効面積は、考えていたより狭い事が多いのです。
「契約面積 > 有効面積」なのです。

私が経験した中で「ひどい例」をあげると、決して使えないような中庭や、なんと非常階段の部分まで契約面積に入っていた事がありました。
その時はサスガに勇気をふりしぼって「この部分はちょっとおかしいんじゃないですか?」って聞いたのですが「ウチはそうなっているから」で終わりでした。
まさに「貸してやろう」という態度、殿様でしたね。
 

オフィスにも「上げ底」が・・・
オフィスにおける有効面積と契約面積の違いは、何て言うんでしょう、上げ底のお皿みたいなものですかね。

お惣菜やお弁当で「たくさん入っているなー」と思ったら、実は底が上がっていてそんなに入ってなかったっていうことがありますよね。
恐ろしい事に、オフィスにも上げ底があるんですね。

だから、それをちゃんと確認しておかないと、予定していた荷物や、予定していた人員が働けないというような事が起こります。
この結果、すぐに移転しなければならなくなるのもバカらしいです。
また、気をつけていないと全く使わないスペースに毎月大切なお金を支払わなければならない事になります。
それほど損する事はありません。

有効面積
契約面積と合わせて、有効面積もしっかりと計算しましょう。
「安いな」と思った物件でも、実際の有効面積が狭いと割高になります。
トイレとか給湯室とかエレベータホールとか廊下の部分とか、契約面積に入れられている共有面積が大きいと実際に使えるスペースは、契約面積よりかなり小さくなってしまいます。

ワンルームマンション、実は割高
特にワンルームマンションは、非常に効率が悪いです。
 割安な感じがするのですが、有効面積で考えるとそうではありません。
あまり使わないキッチンやお風呂場、オフィスでは使えない玄関やトイレなどにも家賃を払う事になりますから、安いように見えても有効面積での単価を計算してみると割高になる事が多いです。

ネット契約
契約面積と有効面積の問題で一番良いのは、ネット契約といわれているやり方です。
これは、純然たるオフィススペースのみ、つまり「有効面積=契約面積」になっている契約です。
トイレや給湯室などは、契約面積に入っていません。ですから、本当にオフィスとして使えるスペースだけに家賃を支払えば良いのです。
「だまされた!」ということにならなくて済みます。

トイレや共用部でもちょっとした広さのオフィスになれば5坪くらいにはなります。そうなると、毎月10万分くらいの差になってしまいます。
ネット契約の場合はその分を考慮して賃料は多少高めになっていることもありますが、安く見せようと言う魂胆が無いだけ信用できます。

こういうオフィスは数少ないですが、あるにはあります。
ネット契約しているようなオフィスは、大抵、すべてが良心的です。安心して契約できるオフィスと言って良いでしょう。
なるべくネット契約を探しましょう。

契約面積と有効面積が違う事は、常に意識しておいて下さい。
結局スペースが足りなくなって倉庫を借りるなんて事にならないように・・・

5.敷金/保証金

初期費用について
まず、ざっとですが、初期費用について考えてみます。

最もお金がかかるのは、敷金や保証金※です。
ちょっと良いオフィスビルであれば、なんと賃料の12ヵ月分が相場になります。
大きなビルのほとんどは12ヶ月分を条件にしていますね。
中小ビルでも8ヶ月分から10ヶ月分くらいです。
格安でも6ヶ月分。
もし6ヶ月分以下という物件を見つけたら、それはかなり低い水準。お得な物件です!

次は、礼金です。
2ヶ月分というところが多いです。ただ、大きなビルで12ヶ月分も敷金や保証金を取るような所は、礼金は「0」の所が多いです。

さらに、仲介手数料
これは宅建業の法律で賃料の1か月分と決まっていますから、1ヶ月分です。

そして、1ヶ月目の家賃
1ヶ月目の家賃は最初に払わないといけないことになっています。

つまり、ちょっと良いビルだと(敷金12+礼金0+仲介手数料1+初月家賃1)になります。

なんと合計は【14か月分】

家賃の1年分以上の金額をまだ使ってもいないのに払わないといけなくなるのです。
家賃が10万でも140万になります。20万だったら、280万。30万だったら、420万。

「ひえーっ・・・」
私は最初に賃料の14か月分もの費用を払い込まなければオフィスを借りられないという事実に直面した時、腰を抜かしました。
同時に「こんなに払って会社って回っていくのかな」と不安になりました。

実際に計算してみると、用意した資本金なんて、一瞬で吹っ飛んでしまいます。
まだ売上も「0」です。
全く仕事はありません。仕事が取れるかどうかも分からなくて不安なのに、資金がショートするのです。仕入さえ出来なくなるのです。

これでは、ビジネスになりません。
しかし、これが現状なのです。

※厳密に言うと「敷金」と「保証金」は意味が違います。
詳細は知らなくて良いと思いますが、選択できるなら「敷金」を選択して下さい。「保証金」だと、泣くに泣けない事があります。詳細はホームページにでも公開していきます。

塩漬けにされるお金
私達が預ける敷金は、いわゆる塩漬けのお金になります。
そのオフィスを借りている以上、もちろん使う事も出来ず、全く金利も付かず、ただただ預けているだけです。
どれだけ資金に困っても、そのお金を使う事はできません。
自分のお金なのに・・・

私達が預けた大金のゆくえ・・・
では、実際、このお金はどうなっているのでしょうか?
ほとんどの家主は、使っちゃいます

ホントですよ。
何かあった時の為にとっておくお金だと思っていたのですが、大抵の家主は使っちゃっていますね。自分の所の資金繰りにあてたりしています。
 そして、いざ返還する時になってお金が無くって銀行から借りたりしています。

だから、預けているからと言って安心というワケではありません。

「敷金は戻ってくる」というのは神話
家主が倒産した場合には、ほぼ間違いなく、敷金は返ってこないでしょう。
ビルオーナーの倒産なんて、腐るほどあります。
そういう時代になりました。

銀行が担保付で融資した不良債権がむちゃくちゃあるのを見て分かると思いますが、多くのオーナーはビル経営をラクラクとやっているわけではないのです。
特にバブルの時期に投資をしたビルは、かなり厳しいようです。

私が借りているオフィスの場合でも、オーナーが賃貸ビル業をやめるということもありましたし、オーナーが代わってしまうということもありました。
そんなに不安定なのだったら、借りる側の私達の方が保証金をもらいたいくらいだなと思ったものです。

だから、決して「まあ、後で返ってくるんだから」と安心しないで下さい。

必ず交渉しよう!
敷金/保証金は、必ず交渉してましょう。
 1か月分でも低くなるように、交渉しましょう!

敷金/保証金の交渉は、大手のオーナーはなかなか交渉にのってくれませんが、中小ビルや個人オーナーは、結構、相談にのってくれます。

ここで1ヶ月分だけでも違うと大きいです。
家賃が30万だったとして、1か月分なら30万、2か月分なら60万も、使えるお金が残るのです。

それで、チラシをつくることも出来れば、広告宣伝に遣う事も出来ます。
この差は大きいです。
必ず、交渉しましょう。

経験上、募集条件の時より、1か月分や2カ月分の交渉は難しくありません
交渉しないと損です。

大切だから、もう一度言います。
必ず、交渉しましょう!

6.礼金

100%返ってきません
住宅を賃貸した事のある方は経験があると思いますが、礼金というのはオーナーに献上するお金です。
だから、敷金・保証金と違って100%返ってきません。

住宅の世界では、ほとんどの物件で礼金を取られますが、オフィス賃貸では、あまり礼金というのはありません。
しかし、中小ビルや個人オーナーの場合では、目にすることもあるので注意しておいたほうが良いです。

「おっ、敷金が低いな!」
と思っても、小さい字で「礼金2ヶ月」と書かれている事があります。
 気を付けたいですね。 

ワンルームマンションタイプのオフィスも、礼金が条件になっている所が多いです。これは住宅としても使う人がいるからでしょう。

礼金も敷金と同じように、交渉できます。
礼金の分を敷金に変えてもらうという交渉だとうまくいく事が多いです。
どうせなら、戻ってくる可能性のあるお金のほうが100%戻ってこないよりは良いですからね。

7.更新料

ここが大家の儲けどころ
オフィスの契約は、だいたい2年契約になっています。
そして2年が経過しても、お互いが継続したければ、契約を継続します。
これを更新といいます。
更新する時期にお互いが何も言わなければ、自動的に更新されていきます。

この更新の後と更新の前では、なーんにも変わりません。
急にオフィスがキレイになったりもしませんし、
 もちろん広くなったりもしません、
大家さんが急に愛想良くなったりもしませんし、
契約書が新しくなるワケでもありません。

でも「更新料」の請求書だけは来ます。

そして更新料を支払わないといけません。
何も変わらないのに・・・

つまり、この更新月には、なんと2倍の家賃がかかります。更新料は大抵、1か月分だからです。

これも大きいですね。
特に、借りる時は2年先のことなんかあまり考えませんから、多くの人は計算に入れません。
私もそうでした。
更新料のことは深く考えず、あまり計算していませんでした。

しかし、実際に更新の請求書が来ると、キツイのです。
家賃が何のメリットも無しに2倍になるというのは、キツイです。

借りる側はこの更新料を不思議なくらい気にしません。
だから、オーナーさんの儲けどころになっています。

家賃を相場からちょっと低くして「安い」と思って入居させ、実は取れる所で取っているんですね・・・売る側のテクニックとして使われているわけです。
敷金や礼金を1ヶ月下げて安く見せておいて更新料をガッチリ取るというのも、広く行われています。

「本当の家賃」を計算しておこう
更新料は2年で1か月分です。
ですから、24ヶ月に1回は2倍の家賃がかかります。これを月ベースにすると約4.2%。
つまり、家賃が30万のオフィスだったら、毎月1万2千5百円を余計に支払っている事になります。

だから、月々30万と思って借りていても、実は31万2千5百円が本当の家賃なんですね。

更新料も「0」のオフィスがあります。多くはありませんが存在します。
だから、注意して見て下さい。
もちろん、交渉もしてみましょう。
ダメだったとしても、更新料の存在を認識しておけば、予定外の出費で焦る事も無くなります。
最初から月々の家賃は5%の見えない増額分があると覚悟するしかありません。 

いきなり家賃が2か月分。キツイものです。

8.償却

人は未来の費用を考えない
あなたが車を買う時。
だいたい何年くらい乗って、何年後にはどの位の価値になっているかって、正確に計算するでしょうか?
これから車を買おうって時は、あまり真剣には考えない。気にしないですよね。
それよりも、諸費用って高いなーとか、消費税もバカにならんなーとか、すぐに払わないといけない費用が気になりますよね?

オフィスも同じです。
借りる時の初期費用は気になります。正確に計算したりします。
しかし、出る時の費用の事は、ほとんど考えません。

でも、事業が急成長したら、新しいオフィスに移らないといけなくなります。
100人の会社が150人になるのは難しいですが、10人の会社が15人になる事や2人か3人で始めた会社が5人位になる事はしょっちゅうあることです。

この本を手に取ってみようとするような行動力のある「あなた」なら、ビジネスが成功する可能性はとても高いと思います。
ビジネスが成功するとオフィスが手狭になります。必要に迫られてオフィスの移転を考えなければならなくなります。
しかし、企業が成長している段階というのは、決まってお金はありません

その時あなたはひらめきます。
「そうだ!敷金があるじゃないか!」

より広くて良い所に移るのですから、今のオフィスより費用がかかります。
ですから、敷金をあてにします。
しかしながら、多くの人はここでガッカリします。

「えっ?これだけ?」
と感じるくらいにしか、敷金というのは返ってこないのです。
償却されたり、10.の原状回復に想像以上の費用がかかってしまうからです。
契約する時にしっかりと「出る時の事」を考えて契約しておかないと、拡張移転する時などは実際に戻ってくる敷金など全くあてになる金額にはなりません。
だから、出る時の事を十分に考えておくべきなのです。

償却ってなんだ?
募集の案内をよく見てみましょう。
「償却○○ヶ月」とか「償却○○%」って、書いてありますよね?

償却というのは、礼金みたいなものです。
ただちょっと違うのは、家主に預け入れた敷金や保証金の一部が退出する時に返還されないという形になります。そのままオーナーのものになります。
つまり、償却が2か月分だったとすると、10ヶ月分の敷金を預け入れていても8ヶ月分しか私達の財布には戻ってこないという事です。

敷金/保証金は、「戻ってくるお金だからいいやっ」と思って預けてしまいガチです。でも実は全部戻ってくるわけではありません。
償却されてしまうのです。
償却額は敷金の2ヶ月分とか、敷金の20%くらいというのが多いです。
つまり、10ヶ月分の敷金を預け入れているとすると、8ヶ月分しか戻ってこないという事です。
2か月分というのは、大きいですよね。

でも、償却というのはよく理解されていませんし、先の話の事なので「まあいいや」になりやすいです。
全く気にしていない人がいます。
だから、オーナーは必ず敷金/保証金を交渉して低くしてくれても、その分の償却を条件につけておくのです。
ここが儲けどころなのです。

実際、この2か月分に相当する償却というのは、家主側は受け取った時点で「売上」に計上しなければなりません。だから、預け入れた瞬間に、絶対戻ってこないお金と確定されます。
だから、礼金と何ら変わりません。
つまり、「礼金0」となっていても、実は礼金を取られているのです。
気付くのは、退出する時になってです。
「えーっ?」と後悔することになります。

しかも、不思議なのですが、この償却分というのは、家主は売上で計上しているのに借主であるあなたは「費用」で計上できないのです。税務上、できないのです。
つまり、お金は出ているのに「経費」にもできないお金になってしまうということです。
キャッシュフローの観点から言うと、これは最悪の取引です。

だから、会計上も資産として計上されますが、実際は「費用」であり、さらに悪い事に「経費として認められない」というよく分からない宙ぶらりんな費用になってしまうという事です。

この償却のカラクリは、更新料と同じで、貸す側が簡単に売上を上げるテクニックなので、多くの家主がやっています。 

良心的なオーナーは「トリプルゼロ」
良心的なオーナーのパターンは、
礼金0、更新料0、敷金償却0です。
このトリプルゼロを覚えておくと良いと思います。

トリプルゼロの物件にめぐり会えることは、皆無です。ほとんどありません。
しかし、すべてが0にならなくとも、一部を下げてもらうように交渉することは、十分可能です。
「礼金2、更新料1、敷金償却2」を「礼金1、更新料1、敷金償却1」とかにしてもらう事は、交渉によってできます。それで2か月分が浮けば、大きなコストセーブになります。

なるべくそうなるように交渉してみて下さい。

9.電気代

オーナーは電力会社
オフィスを維持する為のコストで一番大きいのは、電気代です。
だから、殿様、いや悪いオーナーはここで儲けようとします。

自宅の電気料金を想像してみて下さい。
電気料金には「基本料金」と使った分だけを払う「従量課金の部分」がありますよね?
これはオフィスビルでも同じです。

私達は各オフィスの小メーターで計測された電気量を支払います。
そしてなぜか、基本料金も払います。これはビル全体で一括されているハズなので、実際、私達が東京電力にそれを請求されているわけではありません。単に、ビルから請求されているだけです。
ビル側は適当にその料金を決めています。だから、良心的な所はそれが安いし、そうで無い所は高く設定されているのです。

さらに恐ろしい事には、ビルによって、1KWあたりの電気料金が違います。
つまり、あるビルでは10円なのに、あるビルでは20円ということがあります。
「あれっ? 何で違うんだろう?」
私の所には、10棟以上のオフィスからの請求書がきます。
だから気付いたんです。
オフィスビルによって電気料金の単価が違うことに・・・

東京電力の単価を確認し、極端に違う所には「これ、間違ってませんかねー?」とあくまで下出に聞いてみました。
すると・・・
「ウチはこれでやっているから!」
とちょっと怒ったような顔をして言われてしまいました。
多分、嫌な部分を指摘されたのでしょう。
だって、こっそりとそこで儲けていたわけですから。

普通はバレませんからね・・・

オフィスの電気代というのは、実際に使用してみると想像以上に大きい金額になります。
また毎月かかる費用でもあるので、通算すると大きくなります。
だから、最初の頃に気をつけてみておきたいですね。

10.原状回復

なめてはいけません
オフィス賃貸の契約には、必ず原状回復の義務があります。
これは、退出する時には使用する前のピカピカの状態に戻してお返ししないといけないという契約です。

この原状回復をなめてはいけません。
 
住宅で経験された方も多いと思いますが、
「えーっ? こんなにかかるの?」
と声に出して叫んでしまうくらいです。
想像以上に原状回復というのは費用がかかるのです。

床の張替や壁紙の張替から始まって、少しでも造作をしていた場合にはそれの撤去などをしなければなりません。この費用は、30坪位のオフィスであれば、軽く賃料の2か月分くらいはいってしまうことがあります。
そう、下手をすると100万くらいはかかってしまうのです。

指定業者制度の落とし穴
原状回復費用は本当にバカになりません。
工事単価が安ければまだ良いですが、そこにも借りる時には見えない「落とし穴」があります。

「指定業者制度」といって、その工事は家主が勝手に決めた「指定業者」に任せないといけないのです。これは、恐らくあなたが真剣に見ないであろう契約書の細かーい部分にしっかりと明記されています。

要は、この原状回復も家主の儲け所になっているのです。
どういう事かと言うと、指定業者が原状回復に要する費用が100万だったとします。
そうするとオーナーは「120万円かかりました」と言って、私たち「借り手」に請求します。
そして、その金額が敷金から自動的に引かれてしまうのです。

だから、工事代金がバカ高い。

原状回復工事は、家主が間に入って自分の取り分をのっけてしまうので、通常の相場より高くなる事が多いのです。

結局、半分は戻ってこない
「償却」、「原状回復」とみてきました。
この費用は、オフィスを選ぶ時には見えにくい所です。
だから「戻ってくるからいいや」と敷金を預けるのですが、結局、半分以上は戻ってこないのです。

この事を本当に実感出来るのは、退出を経験した人だけです。
オフィスを選ぶ時にはなかなか分からないものです。

これに対処する為には、償却を無くしてもらうように交渉する。償却のないビルを選ぶ。
原状回復の業者指定を契約から外してもらう。業者指定のないビルを選ぶ。などが考えられます。
家主さんにしても、ずっと提供者が強かった時代の商習慣を引きずっているだけです。
今は理解してくれるオーナーもたくさんいますから、気に入った物件で大きな償却や指定業者があった場合は、交渉してみることをお薦めします。
親身に聞いてくれる良いオーナーさんもいます。

11.設備の状態

大家さんに負担してもらおう!
設備面で気をつけたいのは、電話回線と電気容量です。
電話回線は、ビル全体で使える量が決まっていますし、フロアごとに使える量も決まっています。
ですので、契約前に必ず「電気容量はどれ位ですか?」「回線は○○本くらい必要だけど大丈夫ですか?」って聞いておいてください。
この段階であれば、もし足りない場合はオーナー負担で工事してくれることが多いです。

しかし、契約後になると話は別です。

契約後に「足りなかった」という話になると、その負担はあなたが背負う事になります。
こうなってしまうと、安く済んでも10万位はかかります。
だから、必ず契約前に確認し、必要な設備を入れてもらうようにしましょう。

 そういう条件で納得して契約してしまったのです。
悪い言い方ですが「釣った魚にエサはくれない」ことを理解しておきましょう。

電気容量は、通常の事務所使用であれば、ブレーカーが落ちるという事はあまりないです。ワンルームマンションタイプのオフィスではあるようですが・・・
ただ、熱源を作り出すものを使う時は気を付けて下さい。ちょっと古いビルだと電源が飛んでデータが消えてしまう事も十分ありえます。

24時間、使えますか?
また、24時間使用可能かどうかも、必ず聞いておいた方が良いと思います。
ビルの構造上の問題とか、セキュリティー設備の関係で、使用時間に制限のあるビルはたくさんあります。
納期に間に合わせる為にがんばっていても、「はい、さようなら。また明日」と言われて強制的に追い出されてしまいます。
立上げ時には急いで明日までに仕上ないといけない仕事とか、結構、出てきますからね。
毎日遅くまで仕事をする訳ではないですが、いざという時には使えたほうが絶対に便利です。

また、大きなビルだと空調は「セントラル管理」になっていて、夜の7時ごろには空調が切れてしまいます。これからって時なのにね・・・。空調を延長すると別料金がかかります。その金額はびっくりするくらい高いので注意したいです。

12.その他のコスト

えっ? 6ヶ月も前に・・・
オフィス賃貸の契約では、退出する時は、6ヶ月も前に予告しないといけません。
 そのあたりは住宅を借りる場合とは全く違うので注意して下さい。

創業時にはなかなか先の事は見えません。6ヵ月後の予定なんて見えないですよね。
 だから、これがコストになってしまいます。
契約では、6ヵ月分の賃料を支払えば、即時に退出する事が出来るという条項があります。

そんなバカな事、出来ませんよね?
この点も、オフィスを選ぶ時にはあまり気にしないかもしれませんが、柔軟に動けるようにしておく為には頭に入れておきたい事です。

その他のオフィス初期コスト
最終的にオフィス選びが無事終了しました。
でも、オフィスはガラーン。
まだ何にもありません。

オフィス選びが終わっても、まだ終わりではありません。
実際にオフィスとして使えるようにするためには、色々なモノを用意しないといけません。

机、椅子、棚などは、すぐ思い浮かぶのですが、電話回線を開設する費用とかインターネット回線を開設する費用もかかります。
FAXは普通紙対応のものは高いし、コピー機にいたっては、カラーにすると100万以上もします。
引っ越しする費用とか、名刺を変更するとか、新オフィスの案内を出すとか、その他にも色々と費用がかかります。
これらも必ずオフィスの開設予算に入れておいて下さいね。
 
会社にいると当たり前だった設備には、自分で用意するとなるって始めて「お金がかかっていたんだー」という事を実感します。
これらの「その他のオフィスコスト」を計算に入れておかないとガランとしたオフィスだけを借りることになってしまいますので注意して下さい。

足していくと、すごいお金が必要になってしまいますから。